ログインあれから、隊員部屋へ戻るとルリアンとベル子がすごく仲よしになっていた。
リュークが「互いに今まで友達がいなかったことが判明した結果、こうなった」と彼女たちを指さした。
ほわわ〜んとするルリアンに、ベル子が「友達……」と言いながらルリアンの腕をぎゅっとしていたので「ほら、ラビッツも」と俺が促すと二人が期待の眼差しで彼女を見て――、「分かったわよ、友達よ!」と言いながらラビッツも二人の腕をぎゅっとして輪になっていた。
とりあえず青春だ。友情が深まってよかった。いかにもなギャルゲーの光景に転生者であるラビッツまで馴染んでいるのは不思議だ……と思いながらも、俺も馴染んでいる気がするしな。
おバカキャラで助かった。多少おかしなことを言っても、引かれないだろう。
さて、今日は入学式の翌日。土曜日だ。秘密基地には自由参加で集合することになっている。お休みだからな。今は食堂で朝食を食べている最中だ。寮生活は自由を満喫できるのがいい。
「あいひんふっへ、いいおあ」
「飲み込んでからしゃべれ。お前、王子だろ」
リュークになら通じると思ったのに。
「バイキングっていいよな」
「そうか? お前、王宮でいいものを食べていただろう?」
「残すくらい出てくるの、好きじゃないんだよ。マナーを守るのも疲れる。ガツガツ食いてー」
「だからお前、王子だろ」
「好きで王子やってないんだよ」
「まぁ、俺ならごめんだな」
「だろ? 責任重いし注目は浴びるし、いいことなんてラビッツと婚約できたことくらいだ」
そう……責任が重い。実は、表向きには分からないように俺には黒子がどこかに常についている。俺の命を守る護衛だ。それだけが任務だから特に何をしてくるものでもないが、実は呼べば来る。つまり、もし仮にラビッツとデートをしても、どこかに黒子がいて見られている。
……黒くはないけど。
「お前、そんなにラビッツのことが好きだったか?」
ゲームの中ではたまに「ラビッツぅ〜、婚約者だろう!?」とかおどけていたけど、惚れていたわけではない。よく知っている可愛い子と婚約できてラッキー、くらいだ。幼馴染として大事には思っていて、リュークとラビッツが結ばれるルートでは普通にかっこつけて祝福していた。
「リュークだって好きだろ?」
「まぁ、そりゃ幼馴染だしな。そういう意味じゃないって分かってんだろ?」
入学式の日――つまり昨日、あれだけ叫んじゃったしな。
視線の先では、ラビッツが知り合いの貴族たちに軽く挨拶をしながら、ルリアンとベル子と一緒に席についたところだ。オリヴィアは、やはり取り巻きに囲まれて優雅に食事をしている。
「ああ。俺はいつかラビッツと結婚したい」
ツンデレは最高だ。彼女も転生者だと知ってはいるが、あのノリがたまらない。昨日はデレの片鱗を垣間見て、少し興奮してしまった。
「ただ、あいつに好きな男ができたら婚約の解消も覚悟しないといけないんだろうな。ラビッツには好きな男と結ばれてほしい。だから、どうにかして俺がその好きな男にならないとな」
俺と同じように前世の記憶があるなら、好きでもない相手との結婚には大きな抵抗があるはずだ。
それに……ゲームのラビッツは不憫萌えの要素もあった。リュークが好きでそれを隠しているから、リュークが他の女の子と結ばれるルートでは俺の婚約者として切ない乙女心を押し殺し、「おめでとう」と祝う側になるのだ。
幸せになってほしいんだよ!
ラビッツには!
じっと見つめていると、視線に気づいたのか三人がこちらを向いた。ルリアンがいち早く小さく手を振ってくれる。ラビッツと目が合ったのが嬉しくて、俺はとっさに投げキッスを飛ばした。当然のように扇子ではたき落とす仕草をされる。
「あー……ま、応援するよ」
俺の一連の動きに呆れながら、リュークも小さく彼女たちに手をあげた。
あれ。
これ、もうリュークとラビッツが結ばれるルートは消えたんじゃないか? 応援されちゃったぞ?
「そ、そうだな。よろしく」
「なんでお前、そんな変な顔をしてるんだよ」
「ははは、俺はいつも変な顔じゃないか」
「それもそうだな」
「変じゃねーよ!? イケメンだよ!?」
「自分で言ったんじゃねーか……」
リュークの方が、クールな雰囲気でイケメン度は高いけどな。
料理に意識を戻す。ハムエッグトーストが美味い。ベーコンが美味い。パスタも美味い。スープも美味い。先のことを考えるより、今はご飯が美味い世界に転生できたことを喜ぼう。お腹がいっぱいになって満たされてきた。
「あー、飯の美味い世界でよかった」
「ずいぶん壮大な感想だな!?」
しばらくは平和な学園生活が続きそうだ。この先に色々あることは分かっているが、卒業後の王子としての生活を考えると気が滅入る。
今も、毎日のように王家から届けられる書類に目を通してサインをしている。父のサインだけで事足りるものの、将来のために「こういった手続きがある」と理解させておく、という教育の一環らしい。俺のサインは確認欄に必要で、承認という意味ではない。
この半年間、努力、努力、努力のど根性で生きてきた。卒業してからも、きっとそうだろう。
「まぁでも、プータローと王子なら、職が保証されている王子の方がマシか」
「比べる対象がおかしいだろう。というか、飯の話からなんで急に職の話になるんだ」
「ずっと飯を食い続けられる身でありたいなと思ってさ」
「王子が何を言ってるんだ……」
歳の離れた弟がポコポコ二人もいるし、何かとんでもないことをやらかしたら国王陛下にはならないかもしれないけどな。
そんなお偉いさんにはなりたくないし、円満に王位継承権を弟に譲ることができれば、多少は肩の荷が下りるものの……さすがにそれは無理だろう。ど根性で生きていく覚悟は、もう決めた。
たまにチラチラとラビッツと視線が合うなーと思いながら、朝食を終えた。
「うむ、ドーナツ岩だな!」「そうね、どこからどう見てもドーナツ岩ね」「なんの異変もないな!」「もっと近づかないと分からないけど、さすがにもうトラみたいなのは現れないでしょう」 校舎の裏を抜けて小道を下っていくと、やがて視界が開ける。相変わらずそこには湖が広がり、遠目にもはっきりと分かるドーナツ型の岩と女神像が静かに佇んでいる。 水面は太陽の光を浴びてやわらかくきらめいている。湖畔には野の花が咲き、春の香りを含んだ風がやさしく髪を揺らす。「二人っきりだけど――、」 これもデートってことにしちゃ駄目かなと言おうとして、気づいた。 「まっ、待て待て待て!」 ラビッツの腕を引っ掴んで、傍らの木の陰へと連れ込む。「ふぇ!? いきなりなにっ。た、確かに二人きりだけどっ、わ、私にだって心の準備ってものがっ、あ、い、嫌ってわけじゃっ――」「リュークがいる」「はぁ!?」「もう一人は――、ラグナシアか!? 嘘だろう」「………………」「まさかゲームとはまったく違う相手が――って、いてっ! いててっ!」 なぜか耳を引っ張られた。「なんだ、どうした」「べっつにー」 ものすごく不機嫌顔だ。「あ、あのな? ほら、ドーナツ岩の左の方にある森の手前のベンチにな? リュークたちがいるんだよ」「見れば分かるわ」「あ、前にはなかった看板があるな。なんだろう」「ここから先にボトルはありませんとでも書いてあるんじゃない」「おお! なるほどな。さすが、ラビッツ。天才! 最高! 可愛い! 俺の嫁!」 ――パシーン! 扇子ではたかれた。 なぜ……。 あ! もしかして! これもデートにカウントしようと思ったのがバレたのか!?「そ、そうだよな。二人きりじゃないし、確かにこれはデートじゃないな。ちゃんと誘う。どこ行くかも決めて……どこにしようか」「はぁ。もうなんでもいいわよ。で、あの二人に気づかれたけど」「どぇぇ!?」 ほんとだ。 手を振られてしまった。「い、いいのか!? 邪魔していいのか!?」「いいと思うわよ。たぶんそんな関係じゃないし」「分かるのか!?」「なんとなく雰囲気で分かるでしょう」 全然分からないが!「雰囲気……?」「ニコラ、鈍いわよね」「分かる方がおかしくないか?」「どう見ても、友達未満の距離でしょう」 距離……! そ
中央広場に設けられたテントは、白い布地に金の縁取りが施されている。さすがはこの学園が用意したものだ。たかがテントなのに、シャレオツである。 ……王家からの寄付金もあるしな。 ラビッツと並んで歩きながらテントに向かっていくと、会長と副会長の姿が見えた。二人とも椅子に腰かけ、机の上にはボトルの記録用紙や確認リストが並んでいる。 「……あの二人、仲よさそうだな」 ボトルも並んでいたしな。 ゲームでは気にしていなかったものの、生徒会長が男性で副生徒会長は女性、両者とも真面目そうな空気をまとっている。「そうね」 俺たちが近づくと、生徒会長がすぐにこちらに視線を向けて立ち上がった。「ニコラ様、何かトラブルでもありました?」 俺たちが一番乗りだったらしい。回収したボトルはまだ一本もないようだ。「いいや。ボトルの持ち主が生徒会長のだったんだよ。ノクス君、お疲れ様。大変そうだね」「あ、僕のでしたか。ありがとうございます。大変ではないです。やり甲斐がありますね。それにしても、偶然にしてはすごいですね。実は僕のボトルもニコラ様のだったんですよ」「……それは奇遇だね」 やっぱりか。ゲームの強制力には抗えなかったらしい。おそらく開始早々、すぐ近くにあったボトルを選んだのだろう。なぜ俺のは、運営サイドへと飛んでいったんだ。 ちなみにヒントは「王子」とだけ書いた。「私のボトルは、副生徒会長のでした」 ラビッツも俺と同様に、中の宝物を見せてボトルだけを返却した。彼らがボトルに触れると、わずかに残っていた淡い光も消える。そうしてまた、このボトルたちは来年のフェスを待つのだろう。「あら、なんて偶然」 副生徒会長がにこにこして自分が選んだらしいボトルを見せた。真面目そうに見えたものの、笑うと八重歯が見えて人懐っこい印象に変わる。 ゲームでは生徒会長の横に佇んでいるだけだったからな……。「私もラビッツ様のボトルだったんですよ」「えっ」「少し待っていてくださいね」 記録用紙にサラサラと記入していく。「はい、こちらですよね」 生徒会長と副生徒会長からそれぞれボトルを渡されたので、スッと触れた。淡い光が同様に消える。「宝物、ありがとうございますね。フェルトの小さな熊さん、可愛らしくてとても好きです」 可愛いな!? 俺も欲しいぞ!「気に入っていただけた
ラビッツと共に校舎の裏側にまわってみる。人気のないところの方が、生徒会長のボトルはない気がしたからだ。せっかくならゲームから外れてみたい。 ボトルがどこに着地するかは、中身を入れた学生の意識も多少は反映する。誰にも見つけてほしくないと望む者のボトルは植え込みの中にある、といった具合だ。「お。二つあるけどどうする?」 人通りの少ないそこで、植え込みの間からチラチラと虹色の光が見えた。「いいじゃない、それにしましょう」 ラビッツが片方のボトルを拾う。指先が触れた瞬間、ボトルの虹色の光は静かに消えた。淡い光だけをわずかにまとう。俺も片方を拾い上げ、中を確認する。 丁寧にたたまれた白いハンカチ一枚とヒントのメモ用紙。『生徒会長』 その文字を見てガガーンと崩れ落ちた。「やっぱり生徒会長じゃないか……。なんでこんなところにボトルがあるんだよ。生徒会長なんて目立つことやってんのにさー。お、ハンカチにはボトルの刺繍がしてあるな。あー、ヘタでごめんってメモに書いてある。なるほど、自信がなかったからボトルがここに来たのか……」 中に入れる宝物は、さすがに自由にすると金額が高くなる。購買でもこの時期には手作りキットがたくさん販売されていて、いくらまでと金額の上限も決まっている。「私のはポストカードね。素敵な絵が描いてあるわ。ドーナツ岩があるから学園の湖ね」「へぇ、綺麗だな」「で、これ見て」「おっ」 ヒントの単語は『副生徒会長』だ。「仲いいな」「二つ並んでたものね」 ゲームでは、リュークのボトルの相手はルートに入っている女の子になる。それ以外のヒロインが誰のボトルを手に取ったのかは分からなかった。「なんにせよ、リュークとラビッツのルートはなくなったな。よかった……本当によかった」「え。まだ可能性があると思ってたの?」「だって怖いじゃんかよ。リュークはほら、カッコいいしさ」「ん……そうね。カッコいい、わよね。でも、ほら、あんただって、その、あの、カ、カ、カ、ガ、ガンバッテるじゃない? ほら、王子のお仕事とか。えっと、鍛えてもいるみたい、だし?」 なんでそんなにシドロモドロなんだ? 日頃ツンツンしているから、誰かをフォローするのも苦手なのかもしれない。「ありがとな。確かに……前世よりも頑張ってる。そうすることでしか見えない景色もあるんだなって
思念品はリュークとルリアンに任せ、それ以外には特に何事もなく、五月下旬となった。 ルリアンに聞いて全ての思念を把握しているリュークから、ポチの部屋に俺は近づかない方がいいと言われたことが、少し気になってはいる。でも、実際には何も起こっていないわけだし、深く考えないことにした。女性陣は色々と持ち込んでメルヘンな部屋になっているらしい。 絶対に何か起こる気がするとトラが言っていたし、嵐の前の静けさのような気もするが……。 パトロール隊へのささいな要望や事件はぽつぽつあった。魔法理論の講義を応用した生徒同士の悪戯で影がおかしなダンスをするようになり生徒が駆け込んできたり、教科書を枕にしたら首が痛いと泣きついてくる生徒までいた。そっちは魔法関係ないだろうと言いたいが、ルリアンが治癒魔法で回復させていた。 いずれもその日のうちに解決だ。主に、先生に言うのが恥ずかしい話が持ち込まれる。ほとんどルリアン一人で解決してしまうのが、さすがというべきか……。 生徒のおふざけには相変わらずペンデュラムが反応し、全員で出動している。 内容はいかにも学生だなぁと微笑ましい。もしかすると、前世の俺にニコラの記憶がプラスされて、俺の精神年齢はそこそこ上に達しているのかもしれない。「――と思うんだけど、ラビッツ」「やらしい発言が多々見られるし、どうかしらね」「仕方ないだろう。女の子と付き合ったことは一度もないんだぞ!?」「……そう、可哀想ね」 なんで睨むんだ! 「もしかしてラビッツには……恋人がいたとか?」「いないわよ」「やったー!!!」「両手をあげて喜んでいる時点で、精神年齢は幼いわね」「嬉しいんだよ!」 ということは、もしかして俺が初恋人とか初キスとか初デートの相手になるかもしれないのか!?「やったー!!!」「しつこいってば」「ラビッツ! 俺とキスしてください!」 ――スパーン!「しないわよ!」 また扇子が飛んできた。 「なんで……」 最近はいい雰囲気になることもあるじゃないか。ツンデレは好きだけど、好きだけど……!「〜〜〜っ。い、言ったじゃない。ムードを考えなさいって。ムードづくりよ。た、例えば、その、ほら、い、一応私たちも婚約者同士なわけだし? あるでしょ。必要な、ね。えっと。まずは舞台というか、デ、デ……だから、ほら、あの……」
「これは……」 リュークが自ら持ってきた箱を置いて、ゴクリと喉を鳴らす。「ヤバイ予感はしていたが……」「運んでくれてありがとな、お疲れ様」 労いを込めてガシッとリュークの肩に手を添えた。「疲れるのは、これからだろう」「うぅぅ。怖すぎるな……」 パトロール隊への要望ボックスが置いてある机の下に、なぜか箱が置いてあった。要望書を確認して、リュークが旧校舎へ運んでくれた。要望書に書いてあった内容は――、『思念品が家に大量にあります。亡くなった祖父がおかしなものを集めるのが趣味だったのですが、量が多く処分に困っているので、なんとかしてください。こちらは一部です。浄聖師に断られた品もあります』 ここは、意思の力で魔法が発動する世界。思念が残ることもあり、呪われのなんとかみたいなのも前世より多いし眉唾ものでもない。前世ならポルターガイストかと思われる現象も、ここでは「そんなこともあるよね」で終わってしまう。 しかし、これは量が多すぎるし集まりすぎている。この箱からおかしな気配がグワングワンと漂っている。「……私は、何もできないと思う」 ベル子はそうだよな。浄化は特殊魔法だ。むしろ使えない人のが多い。日本でいうところのお清めの塩くらいの浄化はできても、思念を祓うことは難しい。「埋めたくなるわね」「地上が見つからないくらいに、地中深く埋めちゃうにゃん〜」「うちの領地の浄聖師に分配してもよろしくてよ」「い、いやいや、オリヴィア嬢の気持ちはありがたいが、最初から諦めるのもな」 こういったものは教会の浄聖師に任せるのが一般的ではあるものの、それなりの寄付金は必要だ。ゴミとして処理しようにも思念だけで形を保っているので処分できず、持ち主の元へそのうち戻ってしまう。それに……。「浄聖師さんに断られる理由が分かりました」 思念を感じ取ることができるのは、この中でルリアンだけだ。「おおまかにしか分かりませんが、リストにしますね」 皆でルリアンの書く内容を見つめる。「踊るくま人形」 夜中に踊り出すぬいぐるみ。ダンスが好きだった少女の「もっと踊りたかった」という思念が宿り夜中に踊る。両親の離婚により習い事の継続が不可能になったようだ。「夢を映す鏡」 触ると夜に見た夢が映る。「さっき見た夢を思い出したい」という思念が宿る。誰も触らない場合、夜中0時に
「お二人とも、同時でしたねっ!」 今日は交流会の翌日、ベル子ちゃんとラビちゃんが部屋へ遊びに来てくれました。ラビさんのことはラビちゃんと呼んではいるものの……高貴なお方の空気を感じて、心の中ではたまにラビさんと呼んでしまうこともあります。「……お邪魔します」「邪魔するわね」「はい、どうぞ中へお入りください。ちょうど紅茶を入れたところなんです」「いい香りね」「はい、お気に入りのローズティーです。お口に合うかは分かりませんが……」「ありがとう」 日差しがやわらかく差し込む部屋の中で、ティーテーブルには三つのカップと、手作りのクッキーを並べた小さなガラス皿。 うん! ちゃんと女子会してますよね!「このテーブルクロスも可愛いわね。さすがルリルリ」 「えへへ。お店で見つけて一目惚れしちゃって」「ルリルリの部屋……全部、可愛い」「ほんとよね」 今までは学校が終わるとすぐに家に帰らなければならず、家庭教師だったり習い事だったりと大忙しでした。 女子会なるものが流行っていることは知っていましたが、これが初めてです! 皆で「いただきます」とクッキーを食べて美味しいねと笑い合ったりラビちゃんが「私の釘が打てそうなクッキーとは大違いね」と少し落ち込んでいるのを慰めたりと時間が過ぎていきます。「それで本題。昨日はどうなったの」 ベル子ちゃんがいきなり切り込みましたよ!?「それが……全然ダメだったの」 ラビちゃんが顔を覆って落ち込んでいます。たまに、こうなっちゃうんですよね。……ニコラさんの前では強がっていますが。「進展なし?」 ベル子ちゃん、容赦なしです!「可愛げがなさすぎて自分にガッカリする……。で、でもね、ニコラだって悪いのよ!」「うん、分かる。ニコラさん、鈍そうな気がする」 だからベル子ちゃーん!「た、確かに鈍いけど! でもほら、ああ見えてえっと……か、顔とか可愛い系でしょ?」 フォローに入りましたね!「はい、可愛い系だと思います」 王子様の見た目に対して、この返答でよかったんでしょうか。「それに、たまには……か、かっこいいところもあるわよね」「はい、ニコラさんの采配にすごいなと思ったことも何度もあります」「そうよね、頼りがいがあるところだってあるし、たまには私だってドキドキしたり……おかしくないわよね?」「はい、